増資に必要な手続とは? 5ステップで詳細解説
起業家の皆さんが、起業し、事業が順調に進んできて、これからさらに事業を拡大しようとしたとき、資金調達が必要な場面が出てくると思います。銀行からの借り入れなどもありますが、「増資」を選択することが多いと思います。
「増資」とは、資本金を増やすことを目的に会社が新たに株式を発行し、その株式と引き換えに出資を受けることを意味します。増資の手続を専門家に依頼すると費用が発生するため、「自社でできないか?」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事では、スタートアップがよく利用している第三者割当増資※を中心に、増資手続きについて解説します。
*特定の第三者から資金調達した際は、第三者割当増資に該当します。
なお、株主総会の手続部分に関しては、こちらの記事「7ステップで分かる、株主総会の実務」で解説していますので、ご覧ください。
目次:
こちらの記事は、下記の企業の方を対象としています。
・取締役会を設置していない
・今回発行する株式が普通株式
・過去に種類株式を発行していない
上記の前提に当てはまらないケース(種類株式、取締役設置会社)の場合は、最終章に注意点を記載しています。
1-1 増資の種類
増資(有償増資)には、①株主割当増資、②第三者割当増資、③公募増資があります。
本記事で解説していくのは、投資家と株式総数引受契約を締結する「②第三者割当増資(特定の第三者を対象に新株を発行すること)」の手続き方法です。
1-2 増資スケジュール
第三者割当増資の一般的な手続は、次のようになります。
(1)投資家と新株の発行内容について事前に協議する (2)株主総会を開催して、新株の募集要項を決議する (3)投資家と契約を締結する(契約=株式総数引受契約) (4)投資家から払込みを受ける (5)法務局に登記申請する |
増資の手続は複雑であり、影響が大きいため、今までは会社法務や登記実務に長けている専門家に依頼することが一般的でした。
当社が提供するFUNDOORを利用していただければ、株主総会の開催から登記申請書類の作成までワンストップで完結することが可能となります。
ステップ1 投資家との事前協議
まずは、新株の発行内容について投資家と事前協議が必要となります。具体的には、今回新たに発行する株式の数、1株あたりの払込金額(株価)、増加する資本金の額、払込期日などを協議します。
ステップ2 株主総会の開催、議事録の作成
増資を行う場合、スタートアップは一般的に非公開会社なので、株主総会の特別決議が必要になります。株主総会を開催する場合、株主総会の開催について取締役が決定し、招集通知を発送します。
増資をする際、株主総会決議の必要がある募集事項は、次のとおりです。
会社法第199条第1項からの抜粋
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これら決議内容は株主総会議事録に記載する必要があります。株主総会議事録は、法務局へ提出する登記申請書に添付資料として必要となります。
※1 株主総会決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することもできます。この場合、委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限および払込金額の下限を定める必要があります。これらに関する詳細な記事は、後日アップさせていただく予定となっておりますので、こちらにつきましてもご期待ください。
※1 株主総会決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することもできます。この場合、委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限および払込金額の下限を定める必要があります。これらに関する詳細な記事は、後日アップさせていただく予定となっておりますので、こちらにつきましてもご期待ください。
※2 発行可能株式総数を超過する場合、発行可能性株式総数を変更する手続が必要となります。定款変更等これらに関する詳細な記事は、後日アップさせていただく予定となっておりますので、こちらにつきましてもご期待ください。
ステップ3 投資家との各種契約書の締結
投資家と結ぶ「総数引受契約書」を作成します。総数引受契約を電子契約で行うことも可能です。
投資家と締結した総数引受契約書は、法務局へ提出する登記申請書に添付資料として必要となります。
FUNDOORを利用していただければ、必要情報を入力するだけで、登記申請に必要な総数引受契約書を容易に作成することができます。
ステップ4 投資家からの払込の確認
株主総会で決議された払込期日(払込期間を定めた場合は期間の末日まで)に、投資家から払い込みがあったことを必ず確認しましょう。もし、払込がないときは、その投資家は株式総数引受契約に基づく株主となる権利を失います。
ステップ5 登記申請書類を作成し、法務局に登記申請
これらのステップが完了すると、いよいよ法務局に登記申請を行います。
法務局への変更登記申請は、総数引受契約書で定めた払込期日(払込期間を定めた場合は期間の末日)から2週間以内に必ず変更登記申請を行う必要があります。
また、払込期日が過ぎてからでないと、変更登記申請はできないので注意をしましょう。投資家からの入金が確認できても、払込期日よりも前に登記申請を行おうとすると法務局から差し戻しを受けてしまうので注意してください。
一般的に、登記申請書に添付すべき資料は次のようになります。
・株主総会議事録 ・株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト) ・総数引受契約書 ・払込みがあったことを証する書面 ・資本金の額の計上に関する証明書 |
以上の資料が準備できましたら、管轄法務局に申請しましょう。なお、増資の変更登記申請には、「登録免許税(収入印紙代)」が必要となります。
FUNDOORを利用していただければ、登録免許税が自動で計算され、登記申請書に反映されます。
2 変更登記申請しない場合には過料の制裁も
増資に限らず、登記事項に変更があった場合、変更の日から2週間以内に変更登記申請を行わなければならないと会社法で定められています。
期間を過ぎた場合、代表取締役等が100万円以下の過料の制裁に処されることもあります。変更登記申請が期間後になった場合であっても、必ずしも過料に処せられるわけではありませんが、必ず期限内に手続をしましょう。
なお、変更登記申請は、期限後であっても法務局に受理され、変更登記はなされます。
3 FUNDOORなら株主総会の開催から登記申請書類の作成までワンストップで完結
FUNDOORでは、本記事で説明した増資手続のすべてのプロセス(株主総会の開催から登記申請書類の作成まで)を行えます。
株主総会の招集通知、委任状、株主総会議事録等の作成、株主総会のオンライン開催をすることが可能です。さらに、書面決議にも対応しているため、株主総会のすべてのプロセスをオンラインで完結することができます。
また、登記の専門知識がない方でもWEB上で必要な情報を入力するだけで、登記申請に必要な書類を作成することができます。増資に関連する時間や費用といった負担を大幅に削減することが可能です。
増資の手続でお困りの方は、ぜひFUNDOORをご利用ください!
参考情報 シリーズA以降の増資登記に関する注意点
例えば、シリーズA以降の場合は、前述の前提に当てはまらないケースが多いと思います。その場合、以下の手続や留意点が発生することになります。
<留意点例示>
・取締役会設置会社の場合は、原則、株主総会に先立って、取締役会決議が必要となります。
・すでに種類株式を発行している場合は、普通株式総会とは別途種類株式総会の決議が必要となる場合があります。
・既存投資家と投資契約書を締結している場合には、その投資契約書内で要求されている項目に注意しましょう。株主総会の前に、特定の株主の承諾が必要なケースなどもあります。
・今回発行する株式が種類株式の場合は、種類株式であることを登記する必要があります。
上記の手続きの詳細につきましては、必要に応じて専門家の方にご相談ください。
執筆:FUNDOOR
監修:当社関係弁護士監修 ※法人名、個人名に関しましては、直接のお問い合わせを避けるため非公開とさせていただきます。
担当弁護士からの一言コメント:増資の手続きは上場時も確認されますので、皆さん手続は必ず期限内に適法に行いましょう。本稿に記載の無い留意点も多くありますので、必要に応じて専門家に相談をして手続を進めてください。
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FUNDOORで提供いたします各種ひな型につきましては、2020年11月1日時点で施行されている会社法、会社法施行規則およびその他の関係諸法令ならびに各種ガイドライン等に基づいて作成し、弁護士の監修を受けております。
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そのため、各会社様におかれましては、上記内容を十分にご理解いただき、必要に応じて弁護士に相談されるなど、各会社様の責任と負担においてご利用いただけますようお願い申し上げます。
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