CEOが語る、これまでの資金調達と “コーチャブル”という行動指針 【ABABA 中井氏】
今回は、新卒の学生を対象に「企業同士で連携した採用」の実現を目指す株式会社ABABA(以下、同社)のCEO・中井達也(なかい・たつや)さんにお話を伺いました。同社は2020年に創業し、2023年3月にはプレシリーズAでの資金調達を発表したばかりです。また、累計調達額は、約2億円となっています。
共同創業者の一人として、創業までの経緯や投資家とのコミュニケーションで大切にしていること、資金調達やコーポレートガバナンスをどのようにマネジメントしているのかなど、体験談を伺いました。
<中井 達也 氏 プロフィール> 株式会社ABABA 代表取締役 関西大学在学中に「訪日外国人を日本人学生がガイドとして案内するツアーサービス GUIBO」をリリース。しかし、コロナの影響でクローズを余儀なくされ、2020年にABABAを久保・古林・中田と共同創業。 |
目次:
・起業に至るまでの経緯
・資金調達を振り返って
・投資家とのコミュニケーション
・コーポレートガバナンスについて
・今後の展望
・最後に
1. 起業に至るまでの経緯
– 本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、御社の事業についてお聞かせいただけますか?
中井さん:
よろしくお願いします。弊社は株式会社ABABA(以下、ABABA)と言って、新卒領域でのダイレクトリクルーティングサービスを運営しています。ビズリーチさんの新卒ver.のようなサービスをイメージしていただけると分かりやすいと思います。
その上で少し特徴的なのが、最終面接まで進んだ就活生にだけアプローチできるという点です。これによって、他社の人事さんが一定のお墨付きを出した学生さんだけにお声がけできるので、最低限のスクリーニングになっていたESや集団面接などの選考フローをカットできるのがメリットです。
これまでは、どのような候補者に対しても同一の選考フローを踏んでいただくような形でした。しかし、弊社のサービスであれば学生さんごとにカスタマイズした最適な選考プロセスを用意できるようになります。
– 御社は中井さんと久保さんのお二人で共同代表をされていると思うのですが、中井さんは元々別の事業で起業されていたとも伺いました。
そんな中、どうして改めて共同で起業されたのでしょうか。
中井さん:
それで言いますと、大学時代ずっと1人で民泊等の事業をやっていたんですよ。他にも、OEMのような形で中国から輸入して自分のブランドとして販売するとか、 ポーカープロとして海外を転々としていたりもしました。
ただ、1人でやれることって本当に小さいんですよね。数百・数千万単位は稼げても、全く世の中にインパクトを与えられなかったので、 1人ですぐそこに行くよりも仲間を集めて遠くに行くことを重要視するようになりました。
ちなみに、未だに久保くんとは対立するような関係でして。あ、喧嘩じゃないですよ(笑)僕は定量的なものが大好きで、彼は定性的なものが大好きなので、良い意味で全く考えが違うというところが共同創業のパートナーとして良かったなと感じています。
2. 資金調達を振り返って
– それでは、ここまで事業についていろいろお聞きしましたが、次に資金調達についてお伺いできればと思います。
ちょうど今月(2023年3月)の初めにプレシーズAで調達されたということで、資金調達は今回で2回目かと思います。シード、プレシリーズAと段階が進むに従って、変わったことや大変だったポイントはございますか?
中井さん:
そうですね、どれだけ未来を具体的に見れているかという解像度が、シードとプレシリーズAの大きな違いになりますかね。
実際シードの時は、エンジェル投資家やCVCに入って頂いているのですが、僕たちのサービスによって叶えられるビジョンに共感して頂いたのが投資の意思決定部分だと思います。イグジットまでの5カ年計画みたいなものは、ほぼ作っていないような状態で出資していただきました。
プレシリーズAに関しては、引き続きビジョンもありますし、それを実現できるメンバーやどのような事業計画を敷いていくのか重要視されていました。具体的に言うと、将来のABABAの解像度がどれほど高まっているかですね。
最近はこの解像度を上げるために「5か年計画・予実管理」というシートを作って、実現したいことに対して正しいアクションを今踏めているのか、毎週メンバーと確認し合うような場を作るようにしています。より解像度を高めていくことが、今後のシリーズに向けて取り組むべき課題でもあります。
– 「シードはビジョンの共感で突破できたが、プレシリーズAは、より具体的な事業計画、組織計画にフォーカスされる」ということですね。勉強になります。
3. 投資家とのコミュニケーション
– 株主になっていただいた方が、特にビジョンに共感した方というお話がありましたが、株主になっていたいただいた方と普段のコミュニケーションはどのように行っていますか?
中井さん:
まず、チャネルで言うと、Facebookメッセンジャーを使って、個別でやり取りをさせていただいています。本当に僕たちのことをよく見てくれている投資家さんばかりです。
例えば、メッセンジャーで「昨日ツイートした内容が不適切だよ〜」みたいなご指摘や、「この法律の部分ってちゃんと加味してキャンペーンやれてるのか?」までご連絡してくださいます。フォロワーとして、すごく密に連絡を取れているような関係です。
– ありがとうございます。そのように親身になってアドバイザーになってくれている株主の方や役員の方が多いのかな、という印象を受けました。
アドバイザーになってくれる方とそのような関係を築くきっかけやコツはありますでしょうか。
中井さん:
僕たちのバリューの中に“コーチャブル”(コーチできるという意味の英語)があります。日本語訳して、僕たちはそれを「いい雑魚であれ」という風に言ってるんですよ。
なぜそのバリューを作ったのかというと、僕は特に学生起業家で社会人経験ゼロ、業務経験ゼロで、「僕たちは徹底的に雑魚だから、徹底的に自分たちより強い人の力を借りようね」という想いが最初からあったんですね。
なので、あなたの力を借りたいんです、お願いしますみたいなコーチャブルな姿勢の強みが活きた結果かなと思います。
– なるほど、カルチャーが大事ということですね。
4. コーポレートガバナンスについて
– 続いて、コーポレートガバナンスについてお伺いしていければと思います。
弊社で、株主総会や取締役会、IRの情報発信等を全てDX化できるサービスを提供させていただいておりまして、そのような実務をどのように運用されているかをお伺いできますでしょうか。
中井さん:
事業進捗は、いわゆるIR資料で事前にご共有させていただいて、報告会ではなく、いかに相談会・ディスカッション会にできるかというところに力を入れています。
周りの人の話を聞いていると、出資していただいたVCさんとの面談は「時間の無駄じゃないか」と言う声も耳にするのですが、 僕は全くそう思っていなくて。VCさんは僕たちの事業に投資するぐらい「どういう計画を引いているか」みたいなところも全部分かっているような方々じゃないですか。
なので、いかに彼らを仲間として引き入れるかというところがすごく大事だと思っていて、「ここ困っているので、助けてください!」という相談をいかに多く用意して、持っていけるか。できるだけ頼って、沢山相談するという運用方針を取っています。
5. 今後の展望
– 最後に、今後の展望をお伺いしたいと思います。学生に広めていくために、今後もっとどういうアクションをしていくかというような具体的な展望はございますか。
中井さん:
もう少し大きい話ですと、 ABABAをどういう風に大きくしていくかをお伝えさせていただければと思います。
僕らは今のABABAを創業して2年で一定のPMFを達成しましたが、10年後、20年後もこの事業モデルのままやっていけるとは思っていないんですよ。やっぱり、ユーザーのニーズもどんどん変わっていきますし、世の中に対して課題を発信し続けることがすごく大事だと思っています。
ビジョナリーカンパニーの「ドリームピープルカルチャー」にもあったりするんですけれども、いかに情熱のある若者を登用し続けて、彼らに世の中のその課題を解決し続けてもらえるかを、会社の仕組みとして作り続けられるかどうかがすごく大事だと思っています。
最後に
本記事では、株式会社ABABA 代表取締役の中井さんの、資金調達時の体験談やコーポレートガバナンスに対する取り組みをお届けしました。
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執筆:なかさくら
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