コーポレート担当者が語る、 シリーズB調達の裏側【Gaudiy 真茅氏】
今回は、ブロックチェーン技術を活用した「Web3時代のファンプラットフォーム」を提供する株式会社Gaudiy(以下、Gaudiy)のコーポレート担当・真茅大輔(まかや・だいすけ)さんにお話しを伺いました。同社は2022年に35億円の資金調達を行い、創業から4年で累計約40億円の資金調達を行っています。
コーポレート担当者の目線で、資金調達やコーポレートガバナンスと日々どのように向き合っているのか、シリーズBの資金調達で大変だったことなど、体験談を伺いました。
<真茅大輔 氏 プロフィール>
株式会社Gaudiy コーポレート
TDK株式会社、リノベる株式会社、株式会社GA technologiesを経て2021年にGaudiyにジョイン。
大企業からベンチャーまで幅広く経理、経営企画業務を経験、現職では昨年の資金調達をはじめコーポレート側の業務に幅広く従事している。New standardなコーポレートを模索中。
|
目次:
・ファンと共に時代を進める、Gaudiy
・シリーズB調達、前後の変化
・コーポレート・ガバナンスの変化
・取締役会は意義のある議論に
・最後に
|
ファンと共に時代を進める、Gaudiy
ー最初に、御社の事業内容について伺ってもよろしいでしょうか?
真茅さん:
Web3とエンタメを掛け合わせてグローバルに出ていく、日本初のスタートアップ企業です。ファン・企業・クリエイターの境界線を壊し、クリエイター含めて色んな人が貢献創作できる環境を作っていき、その人たちに正しく還元されていく世界を目指しているという会社です。それをよく「ファン国家」と表現していたりしますね。
Gaudiyは「ファンと共に時代を進める」っていうミッションを掲げていまして、 プロダクトとしては、ファンの熱量を最大化するファンプラットフォームの「Gaudiy Fanlink」というものを 開発をして、様々なエンタメ企業様に提供している会社になります。
2018年に創業した当時は「クリプトの冬」と言われていた時代で、創業期からブロックチェーンを中心とした技術を活用して、コミュニティサービスを展開をしてきました。これまでソニーミュージックさんや集英社さん、バンダイナムコエンターテイメントさん、サンリオさん、その他大手エンターテインメント企業さんにサービスを提供しています。
また、Culture Deck(会社説明資料)にも書いてあるのですが、日本企業はWeb2.0の波を逃してしまったと我々は考えています。日本の産業はこれからどうなっていくのか?と改めて考えた時に、代表の石川は「日本に産業を作りたい」とよく言っています。Web3領域では自分の会社が引っ張っていくんだという気持ちで事業を作っていますね。
シリーズB調達、前後の変化
ー続いて、資金調達について伺います。御社では昨年の5月、8月、11月にシリーズB調達を行ったと拝見しました。今振り返ってみて、シリーズB調達で大変だったことやこれまでの調達と異なったことはございますか?
真茅さん:
コーポレート側の目線にはなると思うのですが、弊社の場合は株主さんの数もそこまで多くないとはいえ、非常に大きい母体の株主さんが多かったということもあり、全体の足並みを揃えるというのはそこそこハードだったなと思います。
金額なのか、期日なのか、どこに重きを置くのか、そしていつまでに決断するのか……色々な要素が合わさった中で、常に何かが起きる度に意思決定し、なかなかハードでした。
実際に資金調達が終わってみると、独立系VCや銀行系VC、事業会社、本当に大変頼りになる株主さんに満遍なく出資頂くことができました。
ーシリーズBの調達とそれ以前の調達について伺います。シリーズが進むに従って、投資家から見られるポイントが違ったり、求められる点が変わったことってありますか?
真茅さん:
そうですね、それは結構あります。変化した点は3つあって、一つ目は株主が求める権利が大きく変わっていったこと、二つ目は事業計画の数値面、三つ目は大きな金額を投資頂くのでDDが重くなった、という3点ですかね。
一つ目の株主の権利については、例えば取締役会のオブザーバー権であったり、権利関係も調整が必要になります。
二つ目の数値面で言うと、まだ新しいWeb3の事業なので、数値自体を作り上げることもなかなか難しいなと思いながらも、その数値を見て頂きつつ、やっぱり我々と一緒に、日本発で、Web3の世界で勝っていこうぜという所に共感を持って頂いたというのは大きいかなと思います。
三つ目のDDは、これだけの金額を投資頂くに当たって、会計面でのDDを結構しっかりやったなと思っています。私がコーポレートに入ってから1年3、4ヶ月位なのですが、 過去の分がきちんと整理できていない状態から、掘り返して、掘り返して……まずは整える所からでした。
コーポレート・ガバナンスの変化
ーシリーズAでVCが入ったタイミングで、コーポレート・ガバナンスも求められるようになると思いますが、どのように乗り越えられましたか?
真茅さん:
我々管理チームとしては、当然コーポレート・ガバナンスはやらなきゃいけないことという認識です。シリーズBの調達に向けて、その辺りは事前に整備していきました。ただ、先ほども申し上げた通り、最初は「これまでどういう取引があって、どういうエビデンスがあって……」という過去の履歴をかき集める所からでした。
シリーズB調達をした後は、例えば取締役会については、これまで書面でやっていたものを「対面でちゃんと意義あるものにしていきましょう」という変化がありましたね。「事業報告だけ」とか、「財務報告だけ」とか、形式的に終わっても仕方がないので。
弊社の場合は、株主さんに事前に資料をお配りして目を通して頂いて、事業について質問があるところは事前に質問を書いて頂いた上で、当日代表から質問に対して回答します。特に、事業面で意義ある議論がその場でできたら良いと考えて、このような運用にしました。
ー取締役会の話が出たのですが、現状の運用方法をもう少し詳しく教えてください。
真茅さん:
取締役会は今、3ヶ月に1回 開催しております。書面ではなく、Web会議で開催しています。基本的に招集通知や、必要な議題書類の準備は全てコーポレート側で対応していて、取締役会の中で報告する事業報告とか、それに付随する財務状況の数値を揃えるのも我々が対応しています。
コーポレートで揃えた資料はもちろん代表が全て目を通した上でお配りしており、当日の参加者への説明は代表が対応しています。
取締役会は意義のある議論に
ー取締役会を形式的なものではなく、「しっかりと意義ある議論にしていこう」と自発的に思い始めたのは、何かきっかけがあったのですか?
真茅さん:
そうですね、形式張った話で終わってしまう1時間、2時間というのは、僕にとってあまり意味がないと思っています。株主の皆さんにも1時間と時間を取って頂くわけですし、より意義のあるものにしていきたいですね。
運用としては、先ほど申し上げたような形でやってみて、しっかり議論ができていれば良いかなと思っています。もしこれがまた形骸化してきたら、どんどん施策を打って変えていこうと考えています。
ーコーポレート担当者目線でのリアルなお話し、ありがとうございました。大変参考になりました!
最後に
本記事では、株式会社Gaudiy コーポレート担当の真茅大輔さんの、資金調達時の体験談やコーポレート・ガバナンスに対する取り組みをお届けしました。
きちんと整備されていない環境でも一つひとつ紐解いていき、また常に改善を繰り返していく姿勢が、より会社を成長させているのかもしれません。
今回お話を伺ったGaudiyでは、現在新たなメンバーの採用に力を入れているそうです。最新の採用情報はぜひこちらをご覧ください。
本レポートをお届けした、経営管理プラットフォーム「FUNDOOR」では、資金調達時の法務手続きや、株主総会・取締役会を効率化することができます。
詳細については、こちらをご覧ください。
執筆:FUNDOOR
東京都港区芝5-29-11
Contact
FUNDOORで提供いたします各種ひな型につきましては、2020年11月1日時点で施行されている会社法、会社法施行規則およびその他の関係諸法令ならびに各種ガイドライン等に基づいて作成し、弁護士の監修を受けております。
もっとも、FUNDOORで提供している各種ひな型につきましては、標準的な内容を記載しているため、必ずしも各会社様の個別具体的なご事情を反映した内容になっていない可能性がございます。また、法令等の改正、解釈等によっては、FUNDOORを利用して作成した書面が無効と判断される可能性は否定できず、必ずしもその有効性を保証するものではございません。
そのため、各会社様におかれましては、上記内容を十分にご理解いただき、必要に応じて弁護士に相談されるなど、各会社様の責任と負担においてご利用いただけますようお願い申し上げます。
© FUNDINNO, Inc.