「起業家出身のVC代表に聞く、投資家の心を掴む極意」セミナー 開催レポート
経営管理プラットフォーム「FUNDOOR」を展開する株式会社FUNDINNOでは、定期的に起業家向けセミナーを開催しています。第72回目となる本セミナーでは「起業家出身のVC代表に聞く、投資家の心を掴む極意」をテーマに、A Tech Ventures株式会社 代表取締役の竹居邦彦 氏に登壇いただきました。今回はセミナーの様子を一部お届けします。
VCは事業計画の何を見ているのか?
セミナー冒頭で『VCは事業計画の何を見ているのか?』というテーマから始まりました。事業計画の何を見ているか、結論から言うと「この起業家にお金を預けたら、リスクテイクをした上で、空振り三振ではなく成功してくれるか? 野球で例えると、逆転満塁ホームランではなくて良いが、ヒットを打ってくれるか」と語りました。
事業の競争優位性や、計画が成功した場合に投資家・VCにどれくらいリターンを返すか、それを事業計画上で説明できているかが重要だそうです。
また、投資を受けられない最大の理由として、「計画が小さすぎる」「リアリティが無さすぎる」の2点を挙げました。計画が小さすぎる例として、労働集約的でレバレッジが効かない・テクノロジーを使っていないケースを説明しました。
リアリティが無い例として、「本当にやりきってくれるのか、100%信じきれない」と言うケースを挙げています。どうすれば「本当にやりきってくれそう」と相手に思わせることができるのか、その方法として、VC担当者の意見に従って事業計画を修正していく、意思決定のプロセスをヒアリングする、ということが重要だそうです。
事業計画の構成要素
続いて、事業計画の構成要素についてお話し頂きました。事業計画に何を入れるべきか、要素は決まっているとのことで、下記5つを挙げました。
・ビジネスは誰の何の課題を解決しているのか?(ペイン)
・なぜそれを出来るのか?(成長ストーリー)
・なぜそれをやろうと思ったのか?(パッション)
・なぜそれはビジネスとして成立するのか?(ロジック)
・投資のリターンはどうなるのか?(ファイナンス)
若くして起業したばかりの人であれば「パッション」に力点を置くかもしれないし、テクノロジーをベースにしたビジネスであれば「ロジック」の比重が大きいかもしれない、いずれにせよ、この要素が0ではいけない、と語りました。
ビジネスモデルの考え方
一般的なビジネスモデルキャンバスは難しい、とのことで、竹居氏独自のビジネスモデルに対する考え方を教えて頂きました。下記の4項目に分かれています。
・誰の(顧客)
・何を(課題)
・どうやって(手段・提供方法)
・マネタイズ
竹居氏はいつも、「どうやって」より「何を」に注目しましょう、と伝えているそう。個人のニーズ(人間の根源的な欲求)は決まっており「金銭・食欲・家族・健康・教育」に最終的には行き着き、自分のビジネスが何を解決するのかきっちり形にする必要がある、と語りました。
質疑応答
当日の参加者からも複数の質問が寄せられました。
「VC・CVC、エンジェル投資家との関わり方の違いについて、教えてください」
竹居 氏:ファイナンスはこれから、という前提でお話しさせて頂きますね。エンジェル投資家は属性の幅が非常に広くて、一言で評価するのは凄く難しいですね。ベンチャーキャピタルを経営していて、リタイア後に投資家になっているような、プロ中のプロもいます。一方、個人の方で「将来もっと良くしたいから投資をしたい」という方もいます。ビジネスの経験値が異なるため、エンジェル投資家は幅が広いです。
VCとエンジェル投資家の違いで言えば、VCはある程度パターンが決まっていて、組織的な決定をします。様々な人のチェックを通すため、時間がかかり、奇抜な投資はしにくい、というデメリットもあります。エンジェル投資家は意思決定が早い反面、リレーションシップの維持が難しい場合もあります。
「投資家に二股をかけていることは正直に伝える必要は無い、とのことですが、投資家側から『他の投資家とは話していますか?』という質問に対し、どのように答えれば良いでしょうか?」
竹居 氏:「色んなVCと幅広く話をしています」とだけ言いますね。私の場合はですが、リードVC候補の方に「自分以外に競合がいるかもしれない」と思わせる方がプラスになることもあります。反対にVCから「競合がいるのであれば、他に行って下さい」と言われるようでは、そもそも脈が無いですよね。
終わりに
今回は投資家とのコミュニケーション方法や、事業計画書の作り方について解説いただきました。資金調達の方法として、今回ご紹介したようなVCからの調達もありますが、個人投資家からインターネットで資金を集める株式投資型クラウドファンディングがあります。
株式会社FUNDINNOが提供する、株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」では、事業に対する「ファン投資家」を得られることが最大の魅力です。投資家でありながら、コアユーザーになり得る強力な応援団となります。ご興味のある方は是非、HPをご確認ください。
登壇者プロフィール
A Tech Ventures株式会社 代表取締役
竹居 邦彦 氏
◇2005 銀行~証券~ベンチャーキャピタリスト
金融とベンチャーの経験を活かしベンチャーキャピタリストへ。 10年間インベストメントマネージャーとして主にハイテクベンチャーに関わる。投資した金額、投資された金額は累計500億円。
◇2005~2017 ダブル・スコープ(東証16619)取締役・CFO
リチウムイオン電池の重要素材セパレータの開発・製造を行う ▷2005年会社設立と同時に代表取締役(共同)、2011年に東証マザーズ、 2015年東証1部に上場、時価総額1,000億円を達成 ▷2017年3月上場以来取締役CFOを退任、顧問へ
◇2017~ A Tech Ventures 代表
主にDeepTechの支援を行う。マイクロ波化学株式会社 監査役(J startup100) 、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)TCP、SMBC未来 :メンター 、千葉大学工学部修士コース:ベンチャー論非常勤講師、Stanford Univ. GBS Exective Course Lead Program(2022-2023)
執筆:FUNDOOR
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