CEOが語る、これまでの資金調達と直面した課題【オンリーストーリー 平野氏】
創業期を超え、シリーズA、Bと資金調達を経たCEOにインタビューする「CEOが語る」シリーズ。
今回は、決裁者マッチング支援サービス「チラCEO」を運営する、株式会社オンリーストーリー 代表取締役社長CEO・平野哲也さんにお話を伺いました。同社は2022年に9.55億円の資金調達を完了し、累計調達額は約26億円となります。
これまでの資金調達の難しさや、実際に直面した課題、コーポレート・ガバナンスまで幅広く体験談を伺いました。
<平野哲也 氏 プロフィール> 株式会社オンリーストーリー 代表取締役社長 平野哲也 早稲田大学政治経済学部卒業。2014年 株式会社オンリーストーリーを設立し、国内最大規模の決裁者マッチングプラットフォーム「ONLYSTORY」「チラCEO」を運営。 3年連続でベストベンチャー100に選出、2021年働きがいのある会社ランキング5位に選出などの実績がある。 2022年8月に9.55億円の追加調達を発表し、累計調達額は約26億円に。 |
目次:
・起業に至るまでの経緯 ・起業して6年間、資金調達をしなかった ・資金調達に向けて動いている起業家に伝えたいこと ・「餅は餅屋」で頼ることが大事 ・最後に |
起業に至るまでの経緯
ー本日は宜しくお願いいたします。早速ですが、平野さんの創業の経緯や想いをお聞かせいただけますか?
平野さん:宜しくお願いします。まず起業の経緯でいうと、大学在学中は就職活動をしておらず、社会人一年目は起業家支援の会社でインターンをしていました。社会人一年目の後半に、起業しています。ちょうど2023年2月で、会社を設立して丸9年になりますね。2014年の2月14日、バレンタインの日に会社を作りました。
大学生の頃に髄膜炎等の病気にもかかり、人生について考えるきっかけになりました。また、父親も叔父も経営者だったので、単純に「そういう経営者に自分もなりたいな」というのと、そういう人達の力になれたら嬉しいなと思っていました。
ー身近に経営者の方がいて、「自分でも起業したい、経営者に関わりたい」という想いがあったんですね。
平野さん:そうですね。起業に興味がある人が例えば1,000人くらいいた時に、実際に起業する人って10人ぐらいしかないと思うのですが、僕自身も最初は「ちょっと興味がある層」で、それが段々と病気等を経て「本気でやりたい層」になってきたような感じですね。
ー続いて、事業についてお聞かせください。創業してもうすぐで丸9年ということですが、これまでを振り返ってみて、創業当初の想いから現在の形になるまで、色々な経緯があったと思います。現在の形に至るまでにどのような変化がありましたか?
平野さん:事業の大枠はあまり変わっていないと思いますが、「HOW」の部分は大きく変わったと思います。例えば、一番最初って経営者インタビューサイトをずっとやっていました。実際に3,000社くらい取材しましたね。
インタビューをしながら、当時は色んな会社の社長さんにチラシを配る「チラCEO」というサービスを始めました。そこから段々「アナログだけだと限界があるよね」となり、実際にアプリを作ったり、マッチングできるようにしたりしながら、オンラインにシフトしていきました。価値提供を加えていった、というのが正しいですかね。
起業して約6年間、エクイティ資金調達をしなかった
ーここから、資金調達についてお伺いできればと思います。昨年、資金調達されたと思いますが、シリーズが大きくなっていくなるに従って大変だったことや、今までの調達と異なった点はありますか?
平野さん:僕らって、シードでの調達をしていないんですよね。最初からシリーズAに近い感じで調達していて、これまで3回ほど資金調達をしました。
大変だった点でいえば、創業して6年ぐらい調達をしてない会社が初めて調達をすることの難しさ、というのを感じていましたね。エクイティ・ファイナンスって全員するべきとか、誰でもすれば良いってあまり思っていないです。あくまでも、手段のひとつとしてあるだけなので。
エクイティしない自己資本経営から、エクイティ型に変えることへの難しさとか、それを例えると「陸上っていうのは一緒なんだけど、短距離と長距離で使う筋肉が変わってくるよね」とか「大枠は変わらないけど、種目は変わる」みたいな感覚は結構あって、その頃はそういう難しさを感じていました。
直近のラウンドは正直、本当にマーケットが一気に崩れたので、その大変さはなかなかでしたね…。やっぱり外部環境の影響って凄く受けるんだなと改めて思いました。
ー平野さんは社会人一年目で起業されたとのことですが、資金調達関係の知識はどのように学ばれましたか?
平野さん:前提として、完璧に身に付いているのか、と言われたら、そんなことはないうえで、ひとつは「やりながら学んでいった」ですね。1回目の調達時は、本当に一個一個の捺印もどうすれば良いか分からなくて、法律事務所に何回も電話しました(笑)そのラウンドの中でやりながら成長するというのはあると思います。
分からない所は、周りの力を借りるのが大事だと思いますし、最近はそういう本とか記事もいっぱいあるので、課題がある時にちゃんと調べると良いと思います。
あとは、毎回事業のプレゼンをする度に「どうしたら良いと思いますか?」としっかりアドバイスをもらっていました。ブラッシュアップして、少しずつ打率を上げていって、そういうPDCAは回していましたね。
資金調達に向けて動いている起業家に伝えたいこと
平野さん:決裁者マッチングサービスを展開していることもあって、経営者に話しを聞くことが非常に多いのですが、本当に皆さん資金調達は苦労されています。だから、もし上手くいかなくても「自分だけじゃないですよ」と伝えたいです。
まず、調達できている側の人達って本当に一部ですし、それが出来たからといって「偉い」ということも無いと思います。僕も6年ほど資金調達をしなかったり、出来なかったりという時期があっての今ということもあります。苦しい時期もありましたが、結果、僕は調達して良かったなと思っています。
ちなみに当時の苦しい時期が「どのくらい苦しかったか」で言うと、僕があまりに辛そうにしていた時に、取締役COOの川角から「何か出来ることはありますか?」って聞かれたんです。それで、僕はその時に何と言ったかというと、「俺のカラオケを聞いてくれ」って言ったんですよ。オンラインで画面越しに、本当に歌い始めました(笑)
資金調達について偉そうに語れる側ではないですが、「こんな奴もいるよ」と思っていただけたら嬉しいです。
※平野さんの資金調達についてまとめたnoteも是非、ご覧ください。
『資金調達結果と、今後の方針と ※裏話noteリンクあり』(2022年8月10日 公開)
『資金調達の結果報告と還元と感想と。。』(2021年4月14日 公開)
「餅は餅屋」で頼ることが大事
—続いて、コーポレート・ガバナンスについてお聞かせください。
弊社ではFUNDOORという法務DXサービスを提供していることもあり、役会・総会についても起業家の方から具体的な質問を頂くことが多くあります。最初は皆さん手探りで始められると思いますが、CFOの方が入る前は、平野さんがお一人でやってらっしゃったんですか?
平野さん:最初は自分でやりながら、弁護士事務所や法律事務所の方に相談したり、手伝ってもらったりしていました。
本来、経営者の役割って3つあると思っていて、きちんとお金を用意すること、人を集めること、戦略を立てることが大きいなと思っています。比率はフェーズによって変わったりすると思うのですが、その中で全てを一人では出来ないと思うので、餅は餅屋じゃないですが、私は頼るのも選択肢として良いと思っています。
弁護士の方だったり、CFOであったり、FUNDOORさんのような外部のツールを使ってみたり。僕も色んなものに頼ってやってきましたし、「あるべき状態に寄せるため」に頼るのは良いんじゃないかなと思います。
ー信頼できる専門分野の方と、いかに連携していくかというのが重要なんですね。
平野さん:そうですね。僕はそれこそ今の事業をやっていることもあって、経営者の繋がりを活かせるのが、非常に大きいと思います。
経営に関して誰に聞けばいいか分からない時には、オンリーストーリーの決裁者マッチングサービスを利用いただいたり、僕も経営者コミュニティを作ったりしているので、是非機会があれば参加していただけると嬉しいです。
最後に
本記事では、オンリーストーリー 代表取締役社長CEO 平野さんの資金調達を中心とした実体験談をお届けしました。
起業して何も分からない頃や、ステージが進むに連れて出てくる新たな課題にも共通して、「自分に出来ないことは周囲を頼る」と語る平野さんが印象的でした。
今回お話を伺った株式会社オンリーストーリーの詳細は、こちらをご覧ください。
BtoB企業向けの、決裁者商談獲得支援事業:チラCEO
平野さんが運営している、経営層限定の、クローズな悩み解決Facebookグループはこちら
本レポートをお届けした、クラウド経営管理ソフト「FUNDOOR」では、資金調達時の法務手続きや、株主総会・取締役会を効率化することができます。詳細については、こちらをご覧ください。
執筆:FUNDOOR
東京都港区芝5-29-11
Contact