CEOが語る、高齢者を孤立させないために企業としてできること【あんしんサポート 古賀氏】
今回は、「高齢者を孤立させない社会づくり」をビジョンに掲げ、高齢者の安否確認サービスを中心に事業を展開する、株式会社あんしんサポート 代表取締役の古賀 功一(こが・こういち)氏にお話をお伺いしました。
本インタビュー記事では、現在の事業に至るまでの経緯や、これまでの成功談や苦労した経験などが語られています。ぜひ最後までご覧ください。
<古賀 功一 氏 プロフィール> 株式会社あんしんサポート 代表取締役 1982年生まれ。筑前高校出身。福岡大学卒業後、福岡の外郭団体で勤務し、その後2008年にNPO法人在宅医療サポート協会の設立と同時に転職。コールセンター事業に関わり、自治体や医療機関との交渉、コールセンターの運営全般を約10年間行う。NPOでの経験を活かし、「事業で社会貢献を目指す」をテーマに、株式会社あんしんサポートを設立。 |
起業の経緯
ーー古賀さん、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。早速最初の質問ですが、現在経営されている株式会社あんしんサポートではどのような事業を展開されていますか? また、起業に至る経緯もぜひ教えてください。
古賀氏:
宜しくお願いします。あんしんサポートでは、シニアやそのご家族を対象としたコールセンター事業を展開しており、福岡、大分には、コールセンターを開設しております。自治体や不動産管理会社、クリニック、訪問看護ステーションといった所と連携して、サービスを提供しています。
まず起業の経緯ですが、2008年にNPO法人として立ち上げています。未経験ではありましたが、コールセンターの立ち上げから、コールセンター長として人材の採用や教育も担当していました。
NPO法人を立ち上げたのは、身近な団地での孤独死に関する報道を見たことがきっかけです。
団地ってコミュニティの代表格と言いますか、隣近所が顔見知りだとしても孤独死は起きるんですよね。その団地で亡くなった方も、昨日入居したばかりかと言うとそういう訳ではなくて。何年、何十年とそこに住んでいたのに、孤独死が起きてしまった。その報道はとても衝撃的でした。
これからも孤独な高齢者が増えていく社会になるだろう、であれば孤独死を抑制するためにできることは何か、そして考え付いたのがコールセンター事業でした。いつでも気軽に体調の相談や話しができる窓口があれば、孤独死を防げるかもしれませんし、万が一そうなってしまっても早期に発見できると考えました。
ーーその報道がとてもショッキングだったんですね。
古賀氏:
はい、先ほど「身近な団地」と言いましたが、名前を聞けば「あぁ、あそこの団地か」と分かるくらい近所にある団地でした。身近な所でそのようなことが起きるんだな、とかなり衝撃を受けましたね。
NPO法人から、上場を目指す株式会社へ移行
ーーその後、NPO法人から株式会社に移行した理由やきっかけを伺いたいです。
古賀氏:
NPO法人は2008年から2017年まで、10年近く運営をしてきました。2017年に株式会社化しています。
NPO法人立ち上げ以降、お陰様で利用者様やお取引先様も順調に増えていきました。さらに会社が成長していった時に、「上場して株式公開すれば、こういったサービスについて広く認知していただける」と言う考えに至りました。それがNPO法人から株式会社に移行した理由のひとつです。
ーーただ単に会社を拡大させるだけでなく、株式公開することで、このサービスの認知度を高められると考えたのですね。
古賀氏:
はい、おっしゃる通りです。我々も色々な会社さんとお話する機会がありますけれども、このサービスってどなたも否定されないんですよね。「今後必要なサービスですよね」って口を揃えて言われます。
でも、このサービスってどれくらい世の中に広がっているか? と問われると、そうでもない。 なぜ広がらないかと考えた時に、見守りサービスは事業化しにくいものでもあると思っています。これを継続して拡大させる、そして社会的に必要なサービスとして認知していくためにも、『上場』をひとつの目標としています。
ーー『上場を目指す』となったことで、社員の方に意識の変化はありましたか?
古賀氏:
もちろん会社が成長していくためには、従業員の皆さん一人ひとりに頑張っていただかないといけません。最近もストックオプション(以下、SO)を発行する際、従業員向けに「IPOとは?」といった内容の説明会を実施しました。
「IPOについてよく分からない」という状態でSOをポンッと渡しても意味がないですし、SOは会社にとって大事な体の一部でもありますので、有効活用していただくためにもそういった説明会の機会を設けました。
その説明会以降、従業員の中でもIPOやSOに対して興味が湧き始めたと感じることはありますね。
これまでの資金調達で苦労したこと
ーー株式会社に移行してから、これまで複数回の資金調達を行われたかと思います。回数を重ねていく中で、何か変化はありましたか?
古賀氏:
そうですね、これまで6回ほど資金調達を実施してきましたが、最初の頃はNPO法人での実績もありましたので、投資家様に安心して出資いただけた側面はあったと思います。
まずはNPO法人時代にお付き合いのあった方々から出資いただいて、その後外部の投資家様にも入っていただいたことで、エンジェル税制適用企業となりました。エンジェル税制適用企業になったことで、エンジェル投資家の方が投資しやすい環境にもなりましたので、そこからさらに出資いただくことができました。
変化で言うと、最初は我々の想いに共感して頂いた方が多い印象でして、資金調達の回数を重ねるごとに想いだけでなくビジネス面の比重が大きくなっていったと感じています。
ーーNPO法人の実績もありスムーズに調達できたようにも見えるのですが、資金調達で苦労した点はありますか?
古賀氏:
スムーズに見えるかもしれませんが、本当に大変なんです(笑)
コールセンター事業というのは、どうしても人的投資や設備投資が先に発生してしまうんですよね。
事業計画を立てて「このタイミングで、これくらいの予算を達成する」という目標があるとすれば、その目標をカバーできるくらいの人員を整えておく必要があります。オペレーターに対しても教育期間というのは必要で、それを踏まえてさらに早く採用をする必要もあります。人員が増えるということは、システムの増強も必要です。
初期投資と言えば投資なのですが、どうしても資金繰りや資金集めというのは苦労していますね。
コーポレート・ガバナンスに関する変化
ーー上場を目指すに当たってコーポレート・ガバナンスも強化されていると思いますが、ご自身や社内の方々を含めて、意識の変化はありましたか?
古賀氏:
株式会社化した目的のひとつに上場を目指す、という点もありますので、ガバナンスやコンプライアンスは「やっていかないといけない」と最初から思っていました。もし、IPOを目指すことがスタートでなければ、どちらも少し脇に置いていたかもしれません。
私自身、IPOの経験はまだありませんし、上場企業に勤めていた訳でもありません。ただ、上場を目指すということはある意味「公共の企業になる」という認識がありました。やはり最低限、組織としてガバナンスもコンプライアンスも押さえておくべきだと考えるようになりましたね。
ーーコーポレート・ガバナンスやコンプライアンスについて、どのように情報収集して学ばれたのですか?
古賀氏:
福岡証券取引所が主催している「九州IPO挑戦隊」というプロジェクトがあるのですが、そのプロジェクトに選ばれて様々なサポートを受けたことがあります。上場を目指す上での資本政策はもちろんのこと、ガバナンスやコンプライアンスに関してもカリキュラム内で学びました。
また、プロジェクト内での学びに限らず、大手企業様から出資いただいていることもあって、日常的にガバナンスや手続き関係も教えていただく機会が多いですね。
ーーガバナンスと言うと株主の方の存在が大きいかと思いますが、コミュニケーションを取る上で日頃気をつけていることや、今後こうしていきたい、といった点はございますか?
古賀氏:
今後改善していきたい点として、IR配信の頻度を上げていきたいと思っています。現在は決算報告くらいしかできていないのですが、IRの頻度を上げれば今の弊社の状況をより理解いただけるでしょうし、何か困ったことがあれば協力していただけたりもするのかなと。
弊社の株主様は、困っていることがあれば手を差し伸べてくださる方々ばかりです。
株主の方々からは、私とは異なる角度・視点でご意見をいただけるので、新しい発見も多いです。そのような背景もあり、株主様に対するIR配信はより強化していきたいですね。
ーー株主様とも良好な関係を築かれている中で、さらにより良くしていきたいと言うことですね。株主の方が定例会議にも参加されているとは、驚きました!
本日は起業の経緯から資金調達、ガバナンスに至るまでお話しいただき、誠にありがとうございました。
最後に
本記事では、株式会社あんしんサポート 代表取締役 古賀 功一氏の起業・経営に関する実体験をお届けしました。
あんしんサポート社の詳しい事業内容については、下記ホームページをご覧ください。
本レポートをお届けした、株主管理・経営管理プラットフォーム「FUNDOOR(ファンドア)」では、株主名簿・新株予約権原簿の管理や、株主総会・取締役会の運営をワンストップでおこなうことが可能です。
古賀氏がFUNDOORを利用した感想も、後日レポート記事を公開予定です。是非ご覧ください!
インタビュー・執筆:FUNDOOR
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