CEOが語る、これまで8社経営を経験して得た学び【TRAYD INNOVATION 玉城氏】
今回は「事業承継問題を解決し地方の未来を創る。」をミッションに、沖縄県でM&Aコンサルティング事業を展開する、株式会社TRAYD INNOVATION(トライドイノベーション) 代表取締役の玉城偉光(たまき・たけひろ)氏にお話をお伺いしました。
本インタビュー記事では、現在の事業に至るまでの経緯や、これまでの成功談・失敗談などが赤裸々に語られています。ぜひ最後までご覧ください。
<玉城偉光 氏 プロフィール> 株式会社TRAYD INNOVATION 代表取締役CEO 高校卒業後から多くのイベントの企画・制作を行い、最大 5000名のアルバイトスタッフを束ねる。沖縄県にて、自社でイベントの企画、制作、運営までを担える企業へと成長。琉球海炎祭をはじめ、県内の大型イベントの運営実行委員長として7年間歴任。今までに、イベント、飲食、教育サービス等の会社を創業、経営を行いすべての法人を譲渡、承継、廃業する。自身の経験をもとに株式会社TRAYD INNOVATIONを創業。これまで計8社の経営を経験。 |
目次:
現在の事業に至るまでの経緯
ーー玉城さん、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。早速最初の質問ですが、現在代表をされているTRAYD INNOVATION社では、どのような事業を展開されていますか?
玉城氏:
こちらこそ宜しくお願いします。TRAYD INNOVATIONではM&Aコンサルティング事業とPE(プライベート・エクイティ)事業を展開しています。実は現在代表を勤めている会社が計3社ありまして、TRAYD INNOVATION社と出資先の2社も経営しています。
ーー現在の事業に至るまでの経緯を伺っても宜しいでしょうか?
玉城氏:
学生の頃にイベント事業を立ち上げたのが、起業のきっかけです。現在のTRAYD INNOVATION社で、経営は8社目になりますね。
沖縄で事業活動をしていると、とても小さなマーケットなのでどうしても市場が頭打ちになってしまうのですが、市場を拡大するというよりも多角経営でいろんな業態転換を模索してきました。例えばM&Aをしたり、ベンチャー企業に投資をしていったりと、PDCAを回しながら様々な経験を積んできましたね。
この先も人口が減少していくであろう日本では、多角経営の方が戦いやすいと思っています。総合的に判断して、現在のM&Aコンサルティング事業であるTRAYD INNOVATION社に事業を絞っていった、というのがこれまでの経緯になります。
ーー模索していく中で、徐々に今の事業に収束していったということですね。
資本政策や資金調達も、8社経営を経験する中で学ばれていったかと思うのですが、ご自身でWEB検索をしたり、周りの人に聞いたりして学ばれたのでしょうか?
玉城氏:
そうですね、周りに聞いたりもそうなのですが、私自身「インプット癖」というのがすごくありまして。音楽を聞くよりも「ながら勉強」みたいなことを10年位ずっとやっているんです。情報が入ってこないと、違和感を感じてしまうくらいに。
ーー常に何かしらの情報をインプットされているんですね! その「経営に対する熱量の高さ」は、どこから湧いてくるのでしょうか? 子供の頃から関心があったのでしょうか。
玉城氏:
はい、子供の頃からとても関心が高かったです。父親が個人事業主だったのですが、父の仕事の話を聞くのが本当に楽しくて。学校が休みの日には父の事務所に行って、掃除を手伝ってお小遣いを稼ぐ、なんてこともしていました(笑)
そういった環境も相まって、父の会社を通じて経営に携わりたいなという気持ちも生まれました。ですが、父や従業員の方が話してくれる内容に耳を傾けるうち、だんだん「自分が別の会社を作って、父親の会社を助けないといけない」と、小学生ながらに思っていました。
これまで8社経営を経験して得た学び
ーー小学生の頃から「いずれ自分の会社を作りたい」と考えていたのですね! 8社経営を経験した中で、「これは一番成功したな」と感じる経験談と、「これは一番失敗したな…」と感じる経験談、それぞれお伺いしたいです。
玉城氏:
そうですね、1番成功したなと思う経験は、「自分が現場をやっている時」ですね。沖縄で、当時は20代前半で、売上を2億円上げられた経験は、「自分で稼ぐことができる」という自信にも繋がりました。
そこから次の失敗談にも繋がるのですが、『属人化せず他人(ひと)の力を使って事業を形にする』、というのは非常に難しくて悩みましたね。あとは、現場から降りるべきか、経営者として仕組みを作るのか、というのもずっと葛藤していました。
過去に初めて資金調達をして、共同事業をおこなった経験があるのですが、そこで大きな失敗をしたことがあります。3,000万円ほどの資金調達だったのですが、他人(ひと)様のお金をいただいているという責任感もあり、どうにか帳尻を合わせるために1億円ほど自己資金を投じたことがありまして……撤退の判断ができずに粘ってしまったのが、大きな失敗談ですね。
その時に、共同事業を一緒におこなった方に言われたのが、「報告が足りない」ということでした。私自身、「良い時に報告をしたい、ダメな時は自己犠牲で」となってしまっていたことに気付かされました。その時の経験から、コミュニケーションの頻度はとても大切だなと思いましたね。その時の学びが、今に生きていると思います。
ーー自己資金1億円...! なかなか大きな額ですね。『属人化せず他人(ひと)の力を使って事業を形にする』のが難しかったというお話もありましたが、具体的にどのような点が難しかったのでしょうか?
玉城氏:
最初から経営者となる人を連れてきて、その人でも会社が回るように、株主的な立ち位置で事業を作ろうとしたんです。その仕組みで会社をいっぱい作ったのですが、事業がない中で、いきなり経営者を増やすというのはやはり上手くいきませんでした。今はもう絶対にやらないですが……。
その時の経験から、事業の0→1(ゼロイチ)は一人の力でやるべきじゃないかな、という結論に至りました。0→1って合理性だけでは判断できないと思っていて、どうしてもセンス等も重要だと感じています。
ーー今ではご自身の事業だけでなく、ベンチャー企業への投資も積極的に行われていると思いますが、ベンチャー企業への投資をする際にどういった基準で投資先を選んでいるのでしょうか? 可能な範囲で教えていただきたいです。
玉城氏:
抽象的に申し上げると、まず市場感ですよね。このマーケットが成長している、若しくはシュリンク(縮小)しているという観点です。あとはビジネスモデル、そして経営者ですね。経営者に関しては人柄というよりも、その経営者の価値観やこれまでの経験、知識といった点を見ています。
株主との密なコミュニケーション
ーー続いて、株主の方とのコミュニケーションについてお聞かせください。個人株主の方も多くいらっしゃると思いますが、どのようにして関係値を築いてこられましたか?
玉城氏:
元々人間関係がある方と、投資家としてご紹介いただいた方、その2パターンに分かれます。既に人間関係がある方々に関しては、私達に期待してくれて何かしら関わりたいという状況なので、私達としても「友人が沢山株を持っている」感覚に近いですね。友人には損をさせたくない、という気持ちが強くあります。
元々面識がなく新たに株主として入っていただいた方々には、これまで会社の方向性を転換する際も、お互いの期待値にズレが生じないよう早々に期待値調整をしたりと、密にコミュニケーションを取るようにしてきました。
ーー株主の方とのコミュニケーションで、上手くいったなと思う点や、失敗したなと思う点はありますか?
玉城氏:
失敗したな、というのは無いですね。上手くいっている点でいうと、株主の方々からはビジネスの中身だけでなく、取り組む姿勢とか「人」で判断してもらっている所も大きいと思っていて。株主の方からよく「一緒に会社やろうよ」と声をかけていただくことも多いんです。株主というよりビジネスパートナー、という感覚の方が強いと思います。
今後の展望
ーー資金調達や投資家探しに苦戦する経営者も多い中で、玉城さんのような人を巻き込む力は素晴らしいなと思いました。最後に、今後の展望などお聞きしたいです。
玉城氏:
今はM&A事業とPE事業をおこなっているのですが、元々「サーチファンド」という事業をやりたかったんです。サーチファンドは、個人と株主が企業を一緒に買収するスキームなのですが、経営したい個人が参画したい会社を探しても、資金が無いので自分で買収することは難しいですよね。でも、サーチファンドであれば、資本は資本で別の会社が持つ、ということができるんです。
サーチファンドといった選択肢があるように、IPOをゴールとするだけでなく、企業売却を前提とした資金調達もより増えていったら良いなと思います。今後も、M&Aやサーチファンドを通じて事業承継支援に力を入れていきたいと思っています。
最後に
本記事では、株式会社TRAYD INNOVATION 代表取締役 玉城偉光氏の起業・経営に関する実体験をお届けしました。
TRAYD INNOVATIONの詳しい事業内容については、下記ホームページをご覧ください。
本レポートをお届けした、株主管理・経営管理プラットフォーム「FUNDOOR(ファンドア)」では、株主名簿・新株予約権原簿の管理や、株主総会・取締役会の運営をワンストップでおこなうことが可能です。
玉城氏がFUNDOORを利用した感想も、後日レポート記事を公開予定です。是非ご覧ください!
聞き手・執筆:猪狩千尋
東京都港区芝5-29-11
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